うるせーチビ!

 自動改札機が多くなった改札では、滅多なことがない限り不正乗車を見つけることは少なくなった。中でも、定期券の他人使用だけはなかなか見つからない。

 最終電車の一本前、20歳くらいの男性が、普通乗車券とICカードを併用して出ようとしたため自動改札を通れなかった。そのため、ICカードを拝見すると、女性名義の定期券で乗車していた。

 最近は性別のよくわからない方も多いので、事情を尋ねたところ、 「自分の定期券が期限切れで妹の定期券を今日だけ使った」とのことであった。
 ICカードの名義をある方法で調べると、確かにこの男性名義の定期券が1週間前で期限切れとなっている。だが罪悪感は無く、 「みんなそんなのやっている!」 と開き直った態度で、 「金を払うから定期券を返せ!」と言われた。

 規則上も、他人名義で乗車した定期券は没収の上、使用開始日から3倍の往復乗車券代を徴収することになっている。これはどこの鉄道会社でも同じ規則なのだが・・・。何よりも反省の態度が全くない。

「みんなやっているとは、どんな人ですか? 連れてきてくださいよ」

「うるせーな。早く返せ!」

「いや、返せませんね。悪いことだと判ってるのですか?」

「うるせーなこの野郎!」 


素面なのに年上の社会人に向かって、随分ぞんざいな態度である。1人だけの勤務時間帯。もう最終電車も近いため、警察の応援を呼ぼうかと思ったが、勝手に呼ぶとまた能無し助役たちが激怒する。そのため管理駅の助役に相談した。すると・・・

「逆恨みされて駅の施設を破壊されたらどうするんだ? その方がうちの損になるだろ。今日の片道分の増運賃だけ収受して、ICカードを返しなさい」

と指示された。

 助役の指示通り、本日分の増運賃を収受し、免許証で連絡先を確認して控え、妹名義のICカードを返却した。
 
 反省の態度・言動が見られなかったため、

「人生の先輩として言うけど、悪いことをやっているのならばそれなりの態度を取るのが社会人でしょ。謝罪の態度を見せたらどうなのかね?」と男性を諭したところ、

「うるせーチビ!」

と捨て台詞を吐いて駅を後にした。

後日、この話を別の鉄道会社の駅員の友人に話すと

「うちだったらすぐに鉄道警察隊を呼ぶよ。名義を偽った詐欺なんだから、すぐに逮捕されるよ。おかしいよ君の会社の助役は。不正乗車という犯罪を黙認しようとしているわけでしょ? 犯罪ほう助になるんじゃないの?」

さすが元国鉄の会社は違うなぁと思ったし、羨ましくも思えた。
全員が全員の乗車券を調べられないのはわかるが、ルールを守らない人間が得をするようなことは、私は納得がいかない。もしも私が乗客であれば、不正乗車を見逃すような駅員こそ職務怠慢であり、公平な運賃を払っていない輩を野放しにする鉄道会社に抗議したくなるのだが・・・。

こうして「事なかれ主義」第一の鉄道会社から来た上司達に目をつけられ、駅で勤務することに違和感を感じてきたのであった・・・。

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権利主張し義務を果たさず

そんな輩ばかり増えている昨今。
私にも鉄道にも関係ないことだが、こんな「ご意見」がお客様センターに記録されていた。

あるターミナル駅で。列車で来る人を迎えに車で来たご婦人の意見。

車で駅に迎えに来て、どこに車を止めればいいかわからずバスターミナルに入った。
バス停に止めていたら、バスの運転士にクラクションを鳴らされた挙句、ドライバーに「ここは入っちゃ駄目だよ。すぐ出ていけ!」と怒鳴られた。

お客様に怒鳴るとは何事か? 迎えに来る車の駐車場を整備しなさい!

まず第一に、そのバス・タクシーターミナルには「一般車乗り入れ禁止」と大きな看板が入口にあり、エリア内には「駐停車禁止 バス・タクシーを除く」の交通標識も立っている。さらに、道を隔てた反対側には送迎車専用の待ち合わせ場所もあるのだが・・・。

また、私のいた鉄道はバスの経営をしておらず、なぜ怒鳴られたことを鉄道会社に抗議するのか、全くもって理解できない。

そももこの婦人は「道路交通法に違反」しているのではないか?

周りを全く見ず、権利ばかり主張して義務(道路交通法)を果たさない。

こんな輩を「お客様!」として奉り、「お客様満足主義」とやらの表面的なサービスばかり追っている鉄道業界。
日本の公共交通機関の地位を向上しなければ、将来の交通機関が成り立たなくなるのではと思うのだが・・・。

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心から消えないトラウマ

今回はとりとめのない文章になってしまいました。

私はなぜうつ病になったのか?
駅で勤務してからのストレスだけでなく、私にはなかなか消えることのないトラウマがある。私は年長の男性が苦手である。社会に出るということは、幅広い世代の人物と接しないといけない。しかし、過去の忌まわしい出来事が、社会に出るという行為そのものをストレスと感じさせてしまっている。

私は父親に精神的な虐待を日常的に受けてきた。父親は教師で、多忙な姿を幼い頃から見てきた。私が小学生の頃からは、教え子へのスポーツ指導に熱が入り、雨が降らない限り家にいることはまれであった。夜に父親の顔を見るのは、酔っ払って帰宅して母親に言いがかりをつけて起こされてしまう時だった。

今でも夢に出てくること。私が小学2年生の時であった。当時は珍しいビデオデッキが学校で廃品となり自宅に持ってきた。私は鉄道のテレビ番組を録画してもらいテープが擦り切れるくらい再生していた。放課後、両親がいない家の中でビデオを見ようとすると、再生できなかった。ビデオデッキの裏面の設定が間違っていたのだが、幼少の私には理解できなかった。夜帰宅した父に見せると
「こんな勝手なマネしやがって! 壊れたらどうするんだ馬鹿野郎!」

と、卓上にあった大きなガラスの灰皿で私を殴ろうとしたのだ。それを見ていた母親が「あなた何やってるの!」と鬼の形相で止めに入った。それ以来父は事あるごとに

「ガキのくせにしやがって!」

という口癖で、私の人格をすべて否定していくのであった。

私は父親の勤務先とは違う学校に通っていたが、そのスポーツで私の通学先の学校にもよく訪れていた。私の級友に
「あいつはスポーツもできないどうしようもないやつだ。家でも気に入らなくてイライラする。あんな奴いなけりゃいいのに」
と話していたという。それを級友から聞いた私はショックで、父親を信用しなくなった。

そのスポーツ指導は段々とエスカレートしていき、いつしか我が家の財産にまで手をつけるようになってきた。私が成長するにつれ、その状況を理解し始めると、父親と対立する機会が増えて行った。先の記事にも書いたとおり、物心ついた時から鉄道が好きだった私には夢があった。鉄道高校として有名な東京上野にある岩倉高校へ進学し、鉄道会社(当時はまだ国鉄)に入ることであった。小学生くらいの頃は
「きちんと勉強しないと岩倉高校へ入れないぞ!」

と言われ、運動よりも勉強へ力を入れていた気がする。中学生になると段々と将来の進路に向かって準備をしなければならなくなった。鉄道業界への進路に対する夢は強いままであったが、父親は
「私立になんて行かせる金はうちにはない。公立からでも鉄道会社には行けるだろう」

と、私の夢を否定した。

母親からは「私立の学費ぐらい捻出できる金額を、スポーツ指導の方へ費やしてしまっている。本当にごめんね」
と声を掛けられていた。それ故、私が社会人採用で鉄道会社に内定が決まった際は、一番に報告して大変喜んでくれたのであったが・・・

そういえば、家族そろって出かけた記憶は中学生になってからは全くない。中学生になってからは私が父親役で家族旅行のプランを立てていた。しかもその日程は父親が学校の臨海学校に出かけているときであった。

公立高校に入ってからは、どこにも連れて行ってもらえなかった反動から、アルバイトに精を出し旅費を捻出。成績は急降下してしまったが、鉄道旅行を通じて視野が大変広くなり、鉄道への憧れが段々と強いものになっていったのである。

両親は私が大学進学の際に離婚し、さらに私は社会人となって戸籍を母方に移した。たった一人で家庭裁判所に赴き、担当裁判官と今までの生い立ちを話し、今後のことを考えて母方の氏を名乗ることを切に願っていることを話した。その場で裁判は結審して、今の母方の氏になったのであった。

いざ社会に出て、会社で上司と話をしても、時折父親から否定されるかのような言い方をされていると感じることが多々あった。普通の人からすれば指導であっても、私には幼いころに父から受けた精神的イジメのような文言に聞こえてしまうのであった。

私が入った鉄道会社にも、父親と同じ世代の上司がたくさんいた。それだけでもかなりのプレッシャーになった。たった二人で勤務する駅で、私の父親とそっくりな言動の上司がいた。その上司と組んで勤務するときは地獄であった。

「お前が受けたクレームはいろいろと聞いている。俺は助けはしないからな、お前だけで責任を持て!」

と投げやりな言葉も浴びせられた。ある日、売上金の確認方法に行き違い(駅によっての微妙な差)があった際、私の話に全く聞き耳を持ってくれず、散々罵声を浴びせられた。

「すみません、すみません」と謝罪させられた後、私は極度の緊張感から齢三十にして涙をこぼしてしまった。上司は驚いてしまって謝ってきたが、私の話を聞かない父が怒鳴ってくる場面が蘇ってきてしまった。

私が心療内科へ行ったのは、駅員になってから2回目であったが、その際は1時間近く生い立ちを尋ねられた。子供の頃からの様子を包み隠さず話したので、うつ病の原因に「幼少のころから父から受けてきた精神的ダメージが大きい」との診断も受けた。

駅の勤務から外れてもう半年以上が経過した。私がいなくてもその鉄道は何事もなく運行している。前述もしたが、仲の良かった同僚から話を聞くと、執拗なクレーマーに悩んで辞めてしまった人がいるということであった。やはり、私のいた鉄道会社は何かがおかしいのだ。

現在の昼の仕事では、不特定多数の人と接することはなく、駅員時代のようなクレーマーに遭遇することはなくなった。しかし駅のようなシフト勤務ではなくなり、残業が全くなくなって経済的に追い詰められてしまい、夜にバイトをするようになった。そのバイトでほんの少しだけ接客する時があるのだが、駅に来るクレーマーのような人は皆無で、料金を気持ちよく支払って頂けるお客様ばかりである。

昭和生まれの私にとって、鉄道は誰でも利用する交通機関の花形であった。現在は鉄道の立場が転落し、人々からは「サービス業」としてしか見られなくなった。駅員は、自分勝手で傲慢な旅客の文句を受け止める職となってしまった。本当に悲しい世の中となったと感じるのは、私だけではないだろう・・・

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大学大馬鹿職員のおでまし

本当に世の中は自分勝手で、非常識な輩ばかりになった。そのおかげでやたらと「顧客満足」ばかり追求する企業が増え、鉄道現場では、本来のサービスである安全輸送が疎かになっている。

とある大学の最寄り駅。その大学では電車に乗車する際に、駅員の介助が必要な学生が大勢いて、私も頻繁にご案内をしていた。改札業務をしていると人気のいない中、ある男性が乗車券を全く改札口に入れないまま強行に出場した。ここまで露骨な無札下車は珍しく、事情を尋ねに近づくと、その大学職員の身分証明を首から下げていた。

「お客様恐れ入りますが、切符をお出しください」

「切符なんて持ってない! 迎えの客を待っていてトイレに行っただけだ! 文句あるか!」

駅の中のトイレを借りるのに、小学生でさえ「トイレを貸して下さい。」と尋ねるのに、なんという愚か者であろう。しかも、普段丁寧に接している大学の職員(しかも国立だから公務員である)であることに唖然とした。

「ここは改札口ですから、切符が必要なことは分かりますよね?」

「うるせー! お前らの電車に乗った客を待っているんだぞ!」

「うるせーとは何ですか? 私があなたの大学に無断で入って、黙ってトイレに入ったらどう思いますか?」

「客に向かって何と言いやがる!」

「あんたは切符を持ってないんだから客じゃないだろ! 私たちはいつもおたくの学生を安全にきちんと介助しているのに、そんな言い方はないでしょ! 大学の職員は改札口を黙って突破してトイレを借りるのが常識ですか? 小学生でさえ、きちんと断って入るよ。それに、駅に入るには入場券がいるのに、買わないで入ったんだから不法侵入だ。警察でも呼ぼうか?」

「わかったよ!」

といい、その大学職員は不貞腐れた表情で改札から出て行った。その職員の名前まではっきり分かったので、いっその事、大学の総務課にでも通報してやろうかとも思った。しかし、トラブルを嫌う管理者は「まぁまぁ」となだめてきたので連絡はしなかったが・・・。

他人の家に無断で入れば立派な不法侵入。鉄道の改札口という、切符を確認する場所を無札で入れば立派な無札乗車、犯罪である。こんなこともわからない奴が国家公務員になれるなんて、しかもこんな非常識な輩が、最高学府の職員でいることに開いた口が塞がらなかった。

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質問にお答えします

前回のブログのコメントに

>製造メーカーでしたら、クレーマー扱いになる可能性が高い事例ばかりですね。
>製造メーカーのお客様相談電話では、録音の告知を最初に流した上で、オペレーターにつながるシステムが増えてます。
>小型で長時間録音出来るレコーダーも市販されています。
>会話を録音出来るように、制度や設備を整備出来ないものなのでしょうか?


 このような書き込みをいただいたので、私がいた鉄道の様子を(多少のフィクションも交えて)お話します。
 地下鉄サリン事件以来、都心の鉄道の多くの駅には防犯カメラが設置された。しかし、これはあくまでも「犯罪が起こった時の証拠資料」、そして人員削減のために「駅員の仕事ぶりを監視する」ために設置されており、「犯罪を防止する」「クレーマーの言動を記録する」ために設置されたものではない。

 また、JRや大手の私鉄では、駅業務を妨害する電話が多いため、テレホンセンターなどを設置して、直接駅へNTT回線から電話がつながらないようになっている。例えば、強風で列車のダイヤが乱れて旅客案内・列車運行整理に追われている際に駅に電話がかかってきてもそれどころではないからだ。
 しかし、私の会社では駅の電話番号が電話帳や案内の資料に明示されており、大変迷惑していた。常識的な電話であればまだしも、クレーマーが面白半分に電話してきたり、終電(営業)終了後に翌朝の電車の時刻を尋ねてきたり、はたまた、夜中の3時頃に運転代行の電話番号を尋ねてきたりと、駅員の休息を妨害する案件が数多くあったのだった。

 にもかかわらず、本社にいる人間は何も考えずに対策をとっていなかった。それは私がいた会社が、特殊な理由で様々な鉄道会社からの出向や転籍の社員が多く、本社にいる社員のほとんどが、自社の駅員経験をしていないので、面倒なことは全て現場に丸投げしていたのだ。

しかし、暴力団からの威圧的な電話による業務妨害をきっかけに、外線電話の録音と、営業時間外の留守電対応を取るようになった。事件となったのは、その暴力団員の高校生の娘が、満員電車から降りる際に電車とホームの隙間から片足を落としてけがをしたということのクレーム。けがの治療費・謝罪を超えて、その駅に勤務していた駅長に対し不当な金銭の要求に始まり、「街宣車を駅前に呼ぶ」といった脅迫へエスカレートしていったからである。その時は駅に録音機能もなく、なくなく警察機関に訴えることもできなかった。 その際の駅長は当然うつ状態となってしまい、定年も近かったことから、現在も自宅療養で過ごしているとのことである。

 そして私の場合はというと、数多くのクレーマー対策として、自前のICレコーダーを改札口に置き、充電池も購入して、24時間体制で録音をしていた。そのことを、後輩社員を通じて管理職も知っていたようだが、「録音を止めろ」とは言われなかった。それだけ、クレーマー対策に本社・管理者ともに本腰を入れていなかったのである。

 そのICレコーダーは報告書作成の際に役に立ったが、残念ながら私をうつ病から遠ざけることにはならなかった。常に持ち歩くということをしていなかったからなのであろうか・・・

 とある大手鉄道の駅で、不正乗車をして駅員につかまった輩が後日逆恨みをして、その駅の改札付近の窓ガラスを割って逮捕されたということがあった。その際も、その鉄道本社では「対応した駅員が悪い」ということで、その駅員に責任を押し付け、告訴しなかったということである。

 犯罪者を憎まず、従業員を粗末に扱ったその鉄道は、当然経営者も倫理観が欠如し、今では株式市場から撤退を余儀なくされている。そういう環境で育った社員が、私のいた会社に大勢出向でやって来ていた。コミュニケーションに乏しく、指示・命令系統がおかしくなってくるのは当然の結果と言えるだろう。

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プロフィール

うつ病になった駅員

Author:うつ病になった駅員
鉄ヲタながら、中途採用で奇跡的に某鉄道会社に入社したものの、
駅で数多くのクレーマーに怒鳴られ、犯罪者に脅され、うつ病(鬱病)
になって退職し、現在は事務職に就いてます。

お気軽にメール下さいね!
utu_ekiin@yahoo.co.jp

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